もちろん「中途養育がダメだということではない」と、町田さん。
「中途養育でも、一般の親との『ズレ』を認識できていればいいのです。実際に子育てをしてみると、思ったようにいかない場面に必ずぶつかります。そのときに、子どもの発達段階について勉強したり、子どもがそれまでどんなふうに育ってきたかを実親(再婚相手)から教わったりして、ズレを埋める努力をすればいい」
うまくいかないのに「ズレ」に目をつぶり、経験や知識、スキルが不足したまま養育にあたってしまうことが、子どもにとって最大の不利益になると町田さんは指摘します。
「親にならなければ」の弊害
筆者はこれまで、再婚家庭や里親家庭の取材をするなかで「子どもを叱ったら『親でもないくせに』と言われショックを受けた」という経験談を何度も聞いてきました。ある種“中途養育者あるある”だと思うのですが、なぜ子どもはそのような言葉を口にし、また、継親や里親は子どもから「親ではない」と言われて大きなショックを受けるのでしょうか。
「大抵の場合、子どもの反発や反抗だと思います。『親でもないくせに』という言葉が出るシチュエーションとして多いのは、大人がその子にとって嫌なことを強要している場合ですよね。そういうときに、『親でもないくせに、お前の言うことなんか聞きたくない』という意図で、その言葉が出てくる」
しかし、大人のほうだって、そういうことを強要したくてしているわけではありません。町田さんは続けます。
「『それをするのが、“親”としての自分の役目だ』と思って、言っていると思うんです。だから『親にならないといけない』と思っている人ほど、『親でもないくせに』という言葉に腹が立ってしまう。これは愛情不足ではなく、人間としての正常な防衛本能の作動です。『親なら子どもをコントロールできて当たり前』という強い規範(思い込み)に縛られている人ほど、それが叶わないときに激しい怒りを感じ、密室での加害につながるリスクをはらんでいると思います」
そもそも、なぜ継親は「親にならないといけない」と思ってしまうのか。

