かつて自身も親族の子どもを育てた経験から、非営利団体「Aステップ」や、Webサイト「中途養育者サポートネット」を立ち上げた町田さん。本人や周囲の大人、社会は何をすればよいのか。ステップファミリーを支えるための視点を教えてもらいました。
子どもの「以前」を知らない親
数年に一度は世間の注目を集める、親の再婚相手による子どもの殺傷事件。今年、2026年の春にも同様の事件が起きました。子どもから「本当のお父さんじゃない」と言われ逆上した継父による犯行です。町田さんは「問題なく生活しているステップファミリーもたくさんある。状況はそれぞれ異なるので、一般論で片づけるのは危険」と念を押したうえで、こう指摘します。
「ステップファミリーには特有の難しさがあることも事実です。それは血のつながりの有無というより、『中途養育者』の困難が大きいと私は考えています」
中途養育――聞き慣れない言葉ですが、どんなものでしょうか。
「中途養育者というのは、継親や里親など、子どもの人生の『中途』から養育にかかわる人です。子どもが2歳でも、10歳でも、その子にはそれまで生きてきたストーリーがあり、養育してきた人間がいる。でも、中途養育者はその部分を知りません。子育ての経験がないことも多いので、その大変さを知らないまま『おそらく、こんなものだろう』という想像で養育にあたって、困難にぶつかりやすい傾向があります」
子どもが生まれたときから一緒に生活している一般の親たちとは大きな差、「ズレ」があるのですが、そこを中途養育者本人やそのパートナーである実親が認識できていないことが多く、さらに周囲(学校や親族、あるいは近隣、知り合い)も中途養育についての理解がない現状があり、そのために家族間で問題が生じやすいのだと町田さんは言います。
「はた目には、血縁がないことが問題のように見えるかもしれませんが、実はそうではありません。たとえば、0歳で特別養子縁組をしたようなケースでは、大人は子どもが生まれたときから養育にあたります。こういった場合も、血縁意識が高い社会を生きるなかで葛藤が生じてくることはありますが、中途養育の困難は比較的少ないです」

