MAHSRはインド亜大陸の西海岸、全長508km12駅、広軌1676mmの在来線からは独立した標準軌1435mmの鉄道である。営業最高速度は時速320km、日本の新幹線技術をベースに円借款で建設中の国家的プロジェクトであるが、その進捗は順風満帆とは程遠い。
2017年9月にサバルマティで起工式が開催され、当時ムンバイに住んでいた筆者は業務上無関係だが、日本人鉄道技術者という立場で出席した。アーメダバード市内には日印両国旗が至るところに掲揚され、熱気に包まれていた。当初開業目標とされた2023年が無理なことは関係者共通の認識であったが、開業へ向けたベクトルだけは日印がそろっていたように思う。
日本製の車両価格が下がらない
あれから9年、マハラシュトラ州の政権交代を含めた用地買収の難航を経て、土木工事は遅れながらも着々と進んでいる。全体コストを抑えるため、必ずしも高速鉄道に特化した技術ではない土木分野については日本の関与を限定的としてインドの業者に開放している。土木以外のシステムについては高速鉄道の核心部分であるため、新幹線技術の導入が大前提である。すでに軌道や電力などが進捗、車両と信号通信などが始まったところである。
しかし、日本製の車両価格が下がらないことに端を発し、新幹線の車両・信号技術の導入が覆る可能性が浮上、それが現実となり日本側は窮地に追い込まれている。

