安全に使ってもらうためには、販売前に使用上の注意や、ふたごじてんしゃの特徴を理解してもらう必要がある。そこで導入したのが、ふたごじてんしゃオリジナルの「アセスメント販売(R)」だ。購入希望者は、事前にアセスメント(適性確認)を受け、道路交通法や自分の環境、商品について学び、ふたごじてんしゃの利用が自分に適切かを確認することを必須としている。また、全国各地で試乗会を開催したり、特定の店舗で試乗体験ができるようにしたりして、実際に乗れる機会も作っている。
一見すると、非常に効率が悪く、販売機会を逃しているようにも思える。しかし中原さんは、「実際はユーザー、自転車販売店、メーカーのすべてにメリットがある『三方よし』の仕組みなんです」と話す。
驚異の返品率0.001パーセント。独自の「アセスメント販売(R)」の強みとは
購入者は、アセスメントによりメリットもデメリットも理解している。そのうえで購入しているため、返品率はわずか0.001パーセント。万が一、必要がなくなった場合は、株式会社ふたごじてんしゃが希望者同志を仲介し、リセールする形をとっていた。現在は自社の「リユースプラットフォーム」を立ち上げた。ユーザー自身がリセール予定の車体にどんな特徴があるか、傷がついているかなど、丁寧な説明文をアップロードしたうえで、購入希望者と直接やり取りをしている。
アセスメント販売(R)は自転車販売店にとってもメリットが大きい。通常、自転車屋は問屋から商品を買い取って販売しているため、原則として返品ができない。さらに従来の3輪自転車は、「乗りづらい、駐輪スペースが確保できなかった」などの理由から、購入後に消費者から販売店に返品されることが珍しくないという。返品リスクはすべて販売店の赤字になる。
しかし、ふたごじてんしゃは完全受注販売のため、店舗側の在庫・返品リスクは極めて低い。さらに、店舗が受け取る利益は一般の自転車と同じに設定されている。
さらにメーカーにとっても、過剰な在庫を抱えるリスクが少ない。ユーザーには購入前にアセスメントを受けてもらっているため、顧客データが把握できているのだ。そのため、生産計画が立てやすくなる。
こうした丁寧で誠実な販売姿勢は、ユーザーとメーカー間に絶大な信頼関係をもたらしている。以前、一部のパーツのリコール対応が発生した際、ふたごじてんしゃは、顧客データから「100パーセントの回収と訪問対応」を達成することができた。
さらに、訪問先ではクレームではなく「双子が乗れる自転車を作ってくれてありがとう」という感謝の言葉ばかりだったという。

