けれど、その言葉をそのまま受け取ってしまうと、本当の困りごとは見えなくなります。
子どもは、親を傷つけたいのではない。うまく言えないだけかもしれない。子どもは、反抗したいのではない。自分でも気持ちを扱いきれないだけかもしれない。子どもは、わざと困らせているのではない。助けてほしいサインを、乱暴な形で出しているだけかもしれない。
そう見方を変えたとき、親の返す言葉も変わります。
では、今日から何をすればいいのでしょうか。
難しいことをする必要はありません。子どもの言葉に反応する前に、1回だけ心の中でこう問い直してみてください。
「この子は、本当は何をわかってほしいんだろう?」
この問いを挟むだけで、親の返す言葉は変わります。
「ママなんか嫌い」と言われたら、
「嫌いなんて言わないの」の前に、
「本当は、何をわかってほしかったんだろう?」と考えてみる。
「学校なんか行きたくない」と言われたら、
「行きなさい」の前に、
「何がそんなにしんどいんだろう?」と考えてみる。
「どうせ僕なんか皆に嫌われている」と言われたら、
「気のせいだよ」の前に、
「どこで自信をなくしたんだろう?」と考えてみる。
この一呼吸があるだけで、子どもに届く言葉を選びやすくなります。
一見噛み合わない会話が、親子を救うことがある
子どもが、「ママなんか嫌い!」と言ったときに、
「もっとわかってほしかったんだね」と返す。
子どもが、「学校なんか行きたくない!」と言ったときに、
「行きたくないくらい、しんどいんだね」と返す。
子どもが、「どうせ僕なんかダメだ!」と言ったときに、
「できなかったことが、悔しかったんだね」と返す。
言葉尻だけを見れば、少しズレた返事に見えるかもしれません。
しかし、子どもの本心に返しているなら、その会話は深いところで噛み合っています。
親子の会話が変わる瞬間は、ここにあります。
正しく言い返すのではなく、本心に届く言葉を選ぶ。
この小さな違いが、子どもの脳を落ち着かせ、次の行動へ向かう入り口になります。
子どものひどい言葉に、毎回振り回される必要はありません。
その言葉の奥にある気持ちを見つけること。そして、その気持ちに向けて言葉を選ぶこと。
そこから、親子の会話は少しずつ変わり始めます。
新刊『発達障害・グレーゾーン 子育て大変だと思ったら これ、言ってみて!』では、こうした「子どもの脳に届く言葉」の考え方と、家庭で今日から使える具体的な声かけを紹介しています。
子どもの言葉に傷ついたときこそ、言葉尻ではなく、その奥にある本心を見にいく。
そこに、親子の会話を変える最初の一歩があります。

