そして加齢していくと、代謝は落ち、体温も下がる傾向があります。内的時計のパルス発信頻度が減ると、同じ1時間でも蓄積されるパルス量は少なくなります。自分の感覚では30分くらいしか経っていないのに、時計を見ると1時間経っている。「時間があっという間に過ぎる」という感覚はこうして生まれます。
狭い空間だと時間を短く感じる
他にも時間を短く感じる原因として、「空間感覚の変化」もあります。人は自分の体を「物差し」にして空間を判断します。大人と子どもが同じ場所にいても、体が小さい子どもはより広く感じます。子どもの頃に通っていた小学校に、大人になってから行ったことはありますか? 教室や机などがとても小さく見えませんでしたか?
あれは記憶が歪んでいるわけではありません。子どもの頃は体が小さかったので、同じ空間をより広く感じていたのです。そして広い空間にいると時間は長く感じ、狭い空間だと短く感じる傾向がある。これも、子どもの時間が長い理由の一つです。
また、「初めて」の減少も大きなポイントです。子どもは多くのことを「初めて」として経験します。新しい体験は注意を引きつけ、細かく処理され、記憶に残ります。けれども大人になると「初めて」は減り、新鮮さも薄れていきます。
子どもは落ち葉を蹴り、水たまりをのぞき、アリの行列に見入ります。一方で大人は、目的地に向かってまっすぐ前を見て歩きます。子どもにとっての「帰り道」はいくつもの出来事の集まりですが、大人にとっては「移動」という一つのかたまりにすぎません。子どもの時間が豊かに感じられるのは、世界への好奇心が旺盛だからです。

