NHKの受信料の変更には国会の承認が必要で、政治的なハードルはもともと高い。仮にそれを乗り越えて値上げできたとしても、問題の根は別のところにある。
事業収入(受信料収入を含む売上高に相当する金額)そのものは6130億円で、前期からわずかに増え、6期ぶりの増収になった。しかし、これは受信料以外の収入の増加によるものであり、受信料収入の本体は止まらずに減り続けている。
受信契約数はピークだった19年度末の4212万件から、その後も減少が続いている。NHKはNetflixで番組配信を再開し、それも炎上したが、受信料以外の収入を増やさないと苦しいのだ。

なぜ受信契約数の減少が止まらないのか。1つには、メディア視聴習慣の急変がある。
「若者のテレビ離れ」から「1億総テレビ離れ」へ
NHK放送文化研究所が5年ごとに実施する「国民生活時間調査」によると、テレビをリアルタイムで見る人は25年の調査では16〜19歳で27%、20代で33%だった。前回20年の調査ではそれぞれ47%と51%だったので、急減している。

さらに60代、70歳以上の高齢者でも下がったのが、今回の調査で衝撃的だった点だ。「テレビ離れ」は若年層で著しいのに加えて、高齢者にも拡大している。「若者のテレビ離れ」の段階から「1億総テレビ離れ」の時代に移ったのだ。
追い打ちをかけているのが、団塊の世代がこれから80代に突入することだ。日本人男性の平均寿命を踏まえれば、今後10年のうちに団塊世代の死亡数は確実に増えていく。受信契約の世帯主の大きな塊が亡くなり、契約そのものが失われるスピードは、より一層加速する。

