検査技師さんからは、「むしろ安静にしようとせずにいつものように活動してください!」との助言が。その代わり、何時何分に食事や運動(階段の昇り降りなど)、排泄、睡眠をとったか、一日の行動を記録するとともに、動悸や不整脈などの症状があればその時間帯も記入してほしいとのことだった。
帰宅後、一度だけバクバクッと不整脈が起きた以外は至って心拍も安定。夜寝るころには、器具を付けていたことさえ忘れるほど違和感がなくなっていた。
健康な人でも起きる「不整脈」は心配ないものが大半
翌日、クリニックに結果を聞きに行くと、データを集計したレポートを手渡された。
通常、成人の24時間の総心拍数は10万回程度。筆者は9万3016回で、そのうち不整脈は9拍ほど。総心拍数に対して0.1%以下という数値だった。
一般的に治療が必要となるのは、総心拍数の10%を超えるケース。健康な人でも「脈が飛ぶ」「一瞬、胸がドキっとする」といった不整脈(期外収縮)は珍しくなく、多くは心配のないものだという。1日数回の不整脈症状で神経質にならなくていいとわかり、ようやく肩の力が抜けた。
検査データという確かな根拠を基に、終始患者に寄り添う井上院長の診療に感動した私は、思わず「取材させてほしい」と懇願。目を丸くしながらも快諾してくれた井上院長に、早速こんな投げかけをしてみた。
「心臓専門のクリニックですと、年配の患者さんが多いイメージですが、実際どんな年代の方が多いのでしょうか」
すると、こんな答えが返ってきた。
「おっしゃるように以前勤めていた大学病院の循環器内科では、70~80代の患者さんが圧倒的に多かったですが、こちらは東京・代々木というエリアの特性や、WEBを見て来院されることもあってか、40〜50代の患者さんが非常に多くいらっしゃいます。女性の方も多くみえますね」
井上院長によれば、とくに女性は表現が豊かで、胸の症状の訴えも「ドキドキ」「バクバク」から「モヤモヤする」「リズムがおかしい」など、実に多様だという。
「だからこそ、症状から考えうる原因をひもときながらも、検査による『定量的(数値的)なデータ』でお示しすることが重要だと考えています。感覚的な慰めではなく、客観的な数値を見ることで初めて心底納得され、それによって症状が和らいだり、生活習慣の見直しにつながったりと、前向きな変化を促すことができるのです」

