では、自身の心臓が問題ないとしたら、あの胸のバクバク感や灼熱感の正体は何だったのか。
「自律神経の乱れによっても、そうした症状が引き起こされる可能性が大いにあります。背骨に沿って走る自律神経は心臓と直結しているため影響を受けやすく、動悸や不整脈などの不調につながるケースも多いです。
また、女性の場合は『貧血』や、『甲状腺機能亢進症』『バセドウ病』といった甲状腺の病気が動悸の原因になっていることも少なくありません。そうした原因を見つけるためにも血液検査でのスクリーニングが重要となります」
働き盛りに多い"心臓病のふり"をしたフェイク症状
思えば、この診察を境に筆者の胸の症状はピタリと治まった。検査結果から得られた安心の特効薬によって恐怖が消えたからかもしれない。
心臓はハートというだけに、心と密接につながっている。井上院長は心臓の内科医でありながら、心療内科医の役目も果たしているのでは、とさえ思う。
「働き盛りの人が訴える胸の症状の多くは、実は心臓病ではないケースが多々ある」と井上院長。例えば「胸が痛い」といった症状の中には、心臓病のふりをした“フェイク症状”も紛れ込んでいるそうだ。
一方で、見逃すことのできない「本物の危険サイン」も存在するから、自己判断は禁物である。
次回は、循環器の専門医が明かす「心臓病と勘違いしやすいフェイク症状」と、「気をつけるべき危険サイン」についてお届けする。

