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キャリア・教育

実力不足なのに「女性だから」昇進した彼女の悲劇…数字合わせの女性管理職登用が組織を潰す"多様性社会のパラドックス"

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壁にもたれて悩むビジネススーツの女性
数字合わせで登用された女性の悲劇と「負の連鎖」についてご紹介します(写真:Graphs/PIXTA)
  • 加藤 芳久 株式会社ファイブベイ取締役副社長、組織変革コンサルタント
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少し視野を広げてみましょう。政治の世界に目を向けますと、高市早苗氏をはじめ、激しい政争や凄まじいプレッシャーの中で、男性顔負けの強固な「胆力」を発揮して組織や派閥を率いる女性リーダーは現実に存在します。これは政治的スタンスの是非の話ではありません。一人のリーダーとして見たときに、女性だからといって「胆力」や「覚悟」に劣るわけでは決してないという、厳然たる事実を示しています。

主体性を引き出す「思い切った権限移譲」

では、女性が過剰な配慮をされず、自らの意志でリーダーシップを発揮する組織とはどのようなものでしょうか。弊社が組織変革を支援して8年になる、アメリカ発祥の有名なステーキハウスレストラン「アウトバックステーキハウス」(運営:オーエムツーダイニング)でのエピソードをご紹介します。

同社では、各店舗が一丸となって組織変革を進めるプロジェクトを行っています。その中で、女性社員のMさんという方がいました。彼女は単に与えられた仕事をこなすだけでなく、「どうすればもっとお店が良くなるか、仲間たちと想いを共有できるか」を常に主体的に考えていました。

ある時、プロジェクトの核となっていた担当者がお休みをすることになりました。普通であれば「今回は配信を休もう」となるところですが、彼女は会社から指示されたわけでもないのに、自らバトンを引き継ぎ、各店舗の先進的な取り組みや環境整備の進捗をまとめた『プロジェクト通信』という社内報の作成を買って出たのです。そのプロジェクト通信には各店舗の進捗報告の動画をリンクさせ、誰もがいつでも見られるように工夫しました。これが全社へ配信され、スタッフの熱量を大きく高めるきっかけとなったのです。

価値観や世代が異なるスタッフたちが働く飲食店の現場において、多世代の共生と相乗効果を生み出す、自発的なリーダーシップのアクションでした。彼女はいわば、組織内に点在する知恵や想いをつなぎ、新たな価値へと結びつける「ナレッジブローカー(仲介者)」としての役割を自ら買って出たのです。

もし、この時に店長や会社側が「そこまでやらせるのは負担だろう」「急にそんな大役をやらせては、余計なプレッシャーを与えてしまう」と、いわゆる“優しい配慮”で彼女の行動を制止していたらどうなっていたでしょうか。彼女の圧倒的な主体性はそこで摘み取られ、ただの「指示待ちの人間」になってしまっていたに違いありません。

しかし、同社の組織風土は違いました。「できる・できないは関係ない。できないことをやろうとする一所懸命な姿に人は感動する」という共通認識のもと、彼女の熱意を全面的に信頼し、「面白いから思い切ってやってみろ」と権限を移譲したのです。

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