責任と自由を与えられたMさんは、さらに輝きを放ち、全国の店舗や多世代の仲間を巻き込む強力なインフルエンサーへと成長していきました。これこそが、本当の【リーダー育成】の瞬間です。性別や雇用形態によるバイアスを捨て、純粋に「打席」を渡し、信じて任せる。この覚悟が、人の主体性を爆発させます。
組織風土を根底から変える「3つのアプローチ」
形だけの数字合わせを脱し、誰もが自然とリーダーへと育っていく組織を作るには、企業の「風土」そのものを根底から変革する必要があります。私は幸せな組織づくりには「理念共有」「関係構築」「リーダー育成」の3つが不可欠であると提唱しています。今回の女性登用の文脈に当てはめるなら、以下の3つのアプローチが不可欠です。
① 理念共有
まずは「2030年30%」という外部の数字(義務)を満たすためではなく、「なぜ我が社に多様性が必要なのか」を、企業の成長戦略や存在意義(パーパス)に紐づけて全社で共有することです。
② 関係構築(バイアスを排したコミュニケーション)
「女性だから」という属性や表面上のスペックで見るのを一切やめ、個人のキャリアに対する「本音の意欲」や「個々の強み・弱み」に1対1で向き合うコミュニケーションの土台を作ることです。
③ リーダー育成(下駄ではなく、変わりたくなる「場」の提供)
多くの企業が勘違いしていますが、そもそも従来の指導法で「リーダーを無理やり育てること」はできません。本人にやる気がないのに無理矢理リーダーに仕立てても、やがてモチベーションはダウンし、最悪は退職に至ります。「人は変わらない。でも、人が変わりたくなる場は創ることが出来る」。これが私の結論です。
多様性という言葉が叫ばれて久しいですが、本当の多様性とは、性別によってゲタを履かせることでもなければ、過剰に腫れ物のように扱うことでも決してありません。
それは、性別、年齢、国籍に関係なく、実力と意欲のある人間が、自ら「変わりたい、挑戦したい」と思える場を提供し、そこで残した成果をフェアに評価する舞台を用意することです。
お互いをリスペクトし、意図的に良い雰囲気やムードを醸成する組織風土が作られれば、あとは「朱に交われば赤くなる」の通り、組織は次のステージへと向かい始めます。


