買い手は狐ではなく、日本に観光でやってきて、たまたま現地を散策していたオーストラリア人だったのです。しかも提示してきた金額は何と6000万円! 本当に驚いたとのことでした。購入した理由を聞くと、とにかく家が気に入った、日本に観光に来る際に利用したい、とのことでした。
彼にオーストラリアの業者などにセールスをしたのか確認しましたが、いっさい外国で営業活動はしていない。サイトに掲載はしていたものの、外国語対応はしていなかったので外国人に、しかも高額で売却できるとは夢にも思っていなかった、とのことでした。
この話には続きがあります。さらに半年後、ふたたび連絡があり、オーストラリア人に売った古民家の隣の物件、やはり彼が買い取ってリフォームしていた古民家を今度は別のオーストラリア人が購入したいと申し込んできたのだと言います。聞くところによれば、彼らは友人で、素敵な古民家を手に入れたと国に帰って友人に自慢したところ、友人もぜひ買いたいとのことで、たまたま隣で施工していたもう1軒をやはり6000万円で購入することになったのだと言います。
日本人が「無価値」と捨て、外国人が「宝」と買う
実は最近、日本国内にある空き家などの古家を外国人が購入する事例が増えています。日本人から見れば古家は価値が低く、住居は新築を良しとする新築信仰が根強くあります。
ところが、外国人はそもそも家を評価する尺度が日本人とは異なります。家が新しいかどうかということはあまり関係なく、その家がどんなところにあって、家から何が見えて、そして家そのものにどんな歴史、ストーリーがあるかに重きを置く傾向があります。また、中古の家であってもインスペクション(建物調査)をしっかりやって、過去の修繕履歴を確認し、必要な箇所について適切な手を加えれば、家は十分に使用できるという価値観があるのです。
こうした目線で日本の空き家を眺めると、日本はまだ利用価値のある家の宝庫に映るようです。東京や大阪などの中心部にも、主を失った古家が多数存在します。観光地にも空き家が多くあり、彼らはそこに目をつけて安く仕入れ、改修を施したうえで、これをゲストハウスや民泊などで運用しているケースもあります。
また外国人側に需要が強いことに目をつけた外国人実業家が、郊外や地方の空き家を安く買い取り、修繕を加えたうえで販売するプラットフォームビジネスなどを始めて話題になっています。

