JR尼崎駅から徒歩15分ほどのところに、JR西日本あいウィルという会社がある。JR西日本における、障がい者雇用を積極的に推進するために設立された特例子会社で、これまでは鉄道の運行時刻が記された業務用ダイヤグラムや鉄道法規などの教本、チラシなどの印刷などを基幹事業としてきた。
しかし、近年のデジタル化の波を受けてその受注も減少傾向にあることから、最近ではJR西日本が注力する、鉄道業務のDX化をサポートする事業を開始した。画像から車両の異常をAI解析する際にAIの学習素材となる、アノテーション業務を請け負っている。これはAIが画像診断を行う際に、学習素材となる画像の内容を手動でマーキング、タグ付けする作業でAI診断の大元を担う重要な作業だ。
そんな同社が請け負う業務の中にJR西日本の社員が着用する制服の管理業務がある。それまでメーカーからの直送、現業機関での管理・保存となっていたこの業務をセキュリティ強化、管理精度の向上を目的に2018年に同社が受託した。
制服の管理数は2万〜3万点に及ぶ
一口に制服といっても、駅員や乗務員の制服のように普段我々が目にするものから、保線や車両検修を行う業務に就く社員が使用する制服、フラッグシップトレインの「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」専用制服、さらには制帽、夏服に冬服、加えて男女など、その種類はざっと数えても1400種類以上あるという。ものによっては1cm刻みでサイズ違いが用意されているので、その管理数はもはや2万〜3万点にも及ぶ。
しかし、「誰にどの制服をどれだけ貸しているか、すべて管理している」と話すのは同社被服管理センターの泉谷知世氏だ。「異動時や業務による激しい汚損などが発生すると現場から必要な制服のオーダーが来て、それに沿ってセンターから現場に一式を発送します。逆に返却物がある場合もこちらで貸出品が正しく返却されているか、状態を含めて1点ずつ手作業で確認しています」。
センター内でも実際に制服をやり取りする作業場には「指定された者しか入れず、担当を外れれば前任者でも入ることはできない」といい、高いセキュリティで守られている。鉄道現場では制服を着用しているだけで関係者であるという証明につながることから、杜撰な管理は許されないためだ。

