しかし、使う人の視点で見ると両者は別物だ。Zα世代を例にとると接続できる人の規模が大きくなり過ぎてしまったXやインスタグラムはもはやソーシャルメディアであって、居心地の良い人数とは言えず、今、居心地の良いソーシャルネットワークと感じられる存在がBeRealなのだ。
「鍵垢」「裏垢」で武装するインスタグラム
この区別は、若者のインスタグラムの使い方にも表れている。iQ Labの調査によれば、Zα世代のインスタグラム利用者の91.2%がメインアカウントを鍵付き、つまり友達として承認した人以外には非公開にしており、68.6%がサブアカウント、つまり裏アカウントや趣味のアカウントを併用しているという。
インスタグラムには24時間後には投稿が自動的に削除されるストーリーズという機能があるが、Zα世代は対象がインスタグラムとなると、たとえストーリーズであっても警戒をし「ほとんど投稿しない」という人が約4割、投稿する人もフォロワー全体に公開するのではなく「親しい友達」だけに限定して共有する設定を利用している人が一定数いるという。
「つまり多くの若者にとってインスタグラムは、もはや気軽に発信する場ではなくなってきていると考えられます」と乗添氏は分析する。複数のアカウントと公開範囲を細かく使い分けながら、「誰に、どこまで、どんな自分を見せるか」を絶えず管理する。
この「見られ方の管理」は、投稿のたびに自意識を消耗させる。同調査では参加したパネルをインタビューする中で「あまり仲良くない人が見たら変に思われないか」と気にしたり、「投稿したあとに、やっぱり消したいと不安になる」と答えたりする傾向がインスタグラムでは目立つ。1枚を上げるたびに、見えない観客の視線を先回りして点検する——そんな緊張が原因で若者がインスタグラムを「閲覧専用」化しているという。実際、調査結果でも「見るだけ」の閲覧中心ユーザーは全体の8割を超えていた。
対照的に、BeRealは「自分でコントロールできる小さな輪」と認識されている、と乗添氏は分析する。承認した友達としかつながらないため、空間そのものを自分で設計できるからだ。調査で相互フォロワー数を見ると、BeRealでは0~50人と少人数に保たれていることが多かったのに対して、インスタグラムでは100~300人と相互フォロー者が多い。これが前者を「内輪」のネットワーク、後者を半公共空間と認識させていると乗添氏は言う。

