藍染の深い青とハワイアンの鮮やかなモチーフは驚くほど相性がよいように見えた。しかも、工房の職人によると濃く染められた藍の布は紫外線を通しにくいとされ、日傘にも向いているという。一緒に行った友人も「これは商品になりそうですね!」と出来栄えをほめてくれた。
結果、友人のおかげで、藍染日傘という新しい作品が生まれたのだが、バッグ同様にさほど売れない状況だった。
「自分が好きで作っている、趣味で作ったものだから、そんなに高い金額にしたら売れないだろうと思って、いつも赤字にならなければいいくらいのぎりぎりの価格をつけていて、友禅本来の値段はつけられずにいました」(equboさん、以下の発言すべて)
equboさんの場合、会社員としての収入が柱としてあったため、友禅作品が売れなくても生活に困ることはなかった。
コロナ禍で仕事を失い「どうやって食べていったら……」
そんな折、コロナ禍が訪れる。当時勤めていたのはフリーマガジンの編集部。ここで事務の仕事をしていたのだが、社長の急逝とコロナ禍の影響が重なり、会社は畳まれることに。そして、突然の強制解雇が言い渡された。 その衝撃は大きく、equboさんは心身ともに追い込まれた。
「明日からどうやって食べていったらいいの?って、本当に落ち込みました」
家にこもり、カーテンを開けることすらできない日々が続いた。
「このままでは、私は壊れてしまう」
胸の奥から静かに浮かび上がってきたのが友禅だった。自分の心を保つため、作品作りに没頭していく。手元にあった布に友禅を施して小さなポーチを作り、SNSに投稿してみた。すると、知り合いの作家から「イベントに出てみない?」と声がかかった。
外出自粛が少しずつ緩和され、久しぶりに開催された小さなイベント。思い切って出店すると、来場者から「開催してくれて嬉しい」と涙ぐむ声が寄せられた。
「出かけるきっかけができて嬉しい、と言ってくださる方が多くて、私の方が救われました」
来場者の言葉に背中を押され、equboさんは再び立ち上がることができたという。職を失ったequboさんはハワイアン手描き友禅と藍染の制作販売一本で食べていこうと決めた。

