金融緩和が行われるとき、景気対策が打たれるとき。それらは、個々の国民を直接豊かにするための政策ではありません。国家システムを維持し、崩壊を防ぐための選択です。その結果として、ある層が得をし、別の層が取り残される。
「組み込まれた存在」でしかない
資産を持つ人が有利になり、持たない人が相対的に不利になる。そうしたことは、構造的に避けられません。それでも国家は動きます。なぜなら、国家が守ろうとしているのは「公平」ではなく、「存続」だからです。
ここまで読むと、市場は冷たい世界に見えるかもしれません。しかし繰り返します。これは善悪の話ではありません。銀行も、証券会社も、国家も、それぞれに与えられた役割を忠実に果たしているだけです。
問題があるとすれば、それは私たちの側です。彼らを、「自分の利益のために存在している主体」だと誤解してしまうこと。その誤解が、判断を歪め、期待と現実の不整合を拡大させます。
金融システムにおいて、あなたは「守られる存在」ではありません。同時に、「切り捨てられる存在」でもありません。組み込まれている存在です。この前提を受け入れたとき、金融との距離感は大きく変わります。期待しすぎない。怯えすぎない。幻想を持ち込まない。
そこからようやく、「使われる側」ではなく「使う側」の思考が始まります。


