2人から3人と、1人増えるだけで、意外と話の「持ち時間」が減るものだ。しかしそれ以上の問題は、「自分の意見が多数派に受け入れられるか」を気にしてしまうこと。そのせいで、本音をセーブする人が出てくるのだ。
これはグループダイナミクスの「社会的抑制」と呼ばれる現象だ。傍観者効果に似たもので、「誰かが言ってくれるだろう」と知らぬ間に遠慮してしまう。
Kさんが飲み会で若手社員と話しても「薄い」と感じる。その理由は、3人以上の場では、本音が出にくくなっているからだ。
世代間ギャップという「思い込み」の罠
2人から3人になると、たしかにいつの間にか「2対1」の構図ができやすい。たとえばAさんとBさんとが話で盛り上がり、Cさんが置いてけぼりになる。あるいは、AさんとCさんが同意し、Bさんだけが孤立した立場になる。
これは誰かが意識的にやっているわけではない。グループダイナミクスが生む、避けがたい現象なのだ。「2対1」の構図が生まれた瞬間、全体の親密さは著しく低下するようだ。2人で話をしている最中に誰か1人が加わる。すると、「なんとなく気まずい空気」を感じるような経験はないだろうか。私はよくある。
冒頭のKさんは、「若者と話が合わない」のは世代間ギャップが原因だと考えていた。
しかし実際に試してみると、まったく違う結果が出た。
あるとき、Kさんは意識して、若手社員のAさんと2人きりでランチに行った。特別な話題も準備しなかった。ただ2人でラーメンを食べながら、仕事の話や最近気になることを話しただけだ。
ところがAさんは、普段の飲み会では見せたことがなかった表情で話してくれたそうだ。仕事の悩み、チームへの期待、将来のキャリアへの不安。グループの場では一切出てこなかった本音が、次々と出てきた。
「世代が違うから話が合わない、と思い込んでいた。2人で話したら、こんなに話が弾むとは」
Kさんは、そう振り返った。問題は世代ではなく「人数」だったのである。
