では、Kさんのような部長・マネジャーは何をすべきか。答えはシンプルだ。
1on1(1対1)の時間を、意図的に設けることだ。
「1on1ミーティング」という言葉は、すでに多くの職場に浸透している。しかし「業務の進捗確認」に使っている人が多い。それはもったいない使い方だ。
1on1の本来の価値は、グループでは決して生まれない「深い対話」にある。2人だけの空間には、心理的安全性が自然と生まれる。「変なことを言ったらどう思われるか」という不安が相対的に低くなり、本音が出やすくなるのだ。
飲み会やランチ会で「全員集合」にこだわる必要はない。せっかくの時間と労力を、本当に効果的な形で使うためには、1対1の機会を積み重ねていくことが重要だ。
そして1on1が蓄積されてはじめて、グループでの対話にも深みが生まれる。2人の間に信頼関係があれば、3人以上の場でも、「あなたはどう思う?」と自然に問いかけられるようになる。信頼の土台なしに、人数だけ集めてもうまくいかない。
雑談も「2人が正解」
対話だけではない。雑談するときでも、3人よりも2人のほうが期待通りになるはずだ。
3人以上の雑談は「エンターテインメント寄り」になりやすい。「上っ面な話題」だけが飛び交い、みんなが笑えるような話に収束していく。これはこれで悪いことではない。だが、すでに関係ができているときだけにしたほうがいい。
いっぽう2人での雑談は、けっこう「掘り下げ効果」が高い。相手の趣味とか、相手が好きなスポーツチームについて深掘りできるからだ。相手の意外な一面を知り、自分の意外な一面を知られる。そういった体験の積み重ねが、信頼関係を作っていく。
「もっとメンバー間の仲を深めたい」と考えるなら、大人数のイベントを増やすのもいいが、一人ひとりと2人きりの時間を作る機会も作るといいだろう。
誤解してほしくないのは、グループでの場は意味がないと言いたいわけではない。
グループには、グループにしかできないことがある。組織としての一体感を醸成する、情報を一斉に共有する、チームとしての意思決定をする。そういった場面では、全員を集めることに意味がある。
ただ、「関係を深める」という目的に限っては、3人以上よりも2人のほうが効果的。最初から「みんな集まれば仲良くなれる」という思い込みは、手放したほうがいいだろう。
だから、まずは2人の関係を積み重ねる。そのうえでグループの場を活用する。これを交互にやっていくだけで、組織のエンゲージメントは大きく上がるはずだ。
「世代が違うから仕方ない」と諦めていた部長も、「1on1を積み重ねたら、こんなに変わるとは」と驚く場合が多い。世代の壁だと思っていたものが、実は人数の問題だったと気づくからだ。
