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8年にわたるファンドとの攻防に雪解けか――社員60人の日本高純度化学に訪れた転機、株主還元積極化で株価急上昇

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練馬本社の開発スペース拡張のため、成増駅前に新オフィスを構えた(撮影:尾形文繁)

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金・パラジウムなどの貴金属メッキ薬品を手がける日本高純度化学(JPC)の株価が動意づいている。今年1月の3000円台から5月末に6030円の年初来高値を更新し、足元は5000円前後で推移する。背景には生成AI需要の追い風に加え、長年積み上がってきた政策保有株式の売却や、それに連なる成長投資への期待がある。
JPCの貴金属メッキ薬品は、特にスマートフォン・PC・サーバーといったハイエンド電子機器用途で高いシェアを誇る。足元で需要が急拡大するAIサーバー分野でも、長年培ってきたメッキ技術への注目が高まっている。
ただ超堅実な無借金経営を続けてきたことで、バランスシートには純資産の大部分を占める現預金と政策保有株式が長年滞留していた。
そこに目をつけて8年前から同社株を買い増し、資本効率の改善を求め続けてきたのが、シンガポールの投資ファンドであるひびき・パース・アドバイザーズ(以下、ひびき)だ。保有についてひびきは「少数株主として、ともに汗を流して応援していきたい」と語っていた。
が、経営改革に腰が重いJPC経営陣に痺れを切らしたひびきは、2023年から3年連続の株主提案に踏み切る。25年にはひびきが20%超を保有する筆頭株主となり、渡辺雅夫取締役相談役(86、前社長・会長)の再任に反対したり、株主還元の強化を求めて大々的なキャンペーンを展開した。
JPCはひびきの影響であることを否定するものの、政策保有株の売却や大幅増配を打ち出したことで、26年は株主提案が行われずに無風となっている。
これから機関投資家や株式市場とどう向き合い、次世代の成長を描くのか。25年間にわたりトップを務めた渡辺相談役の後継として、22年に経営のバトンを引き継いだ小島智敬社長(53)に聞いた。

政策保有株にフジクラやイビデン

――2018年ごろからシンガポールの投資ファンドであるひびき・パース・アドバイザーズが株主となり、一時は保有比率20%を超えて筆頭株主に浮上しました(現在は14%超)。過去にひびきは3年連続の株主提案を実施し、「いっそMBO(経営陣による買収)で上場を廃止すべき」と、厳しく迫ったこともありました。

ひびきの清水雄也代表とは同い年で、彼が独立した当時からの長い付き合いがある。資本コストの概念がまだ十分に浸透していなかったころ、当時わからなかった私にDOE(株主資本配当率)の考え方やESG、欧州基準の環境経営の重要性を色々と教えてもらった。

ただ、時間軸の違いはある。ファンド側は“潤沢なお金があるなら、すぐにリターンを出せる”とスピード感を求める。しかし、われわれのようなケミカルメーカーは薬液の開発に10年も20年もかかる。その時間軸の違いについては、以前から何度も伝えてきた。

小島智敬(こじま・ともゆき)/1972年埼玉県生まれ。1996年東海大学工学部卒業後、日本高純度化学株式会社入社。技術開発、製造、品質保証などの部署を経験。2020年取締役、21年常務取締役を経て、22年より代表取締役社長(撮影:尾形文繁)

――とはいえ自己資本比率80%超、純資産の過半を占める政策保有株式は3月末で約107億円を抱えています。今年4月には、政策保有株式の売却加速や増配など、資本政策の見直しにさらに踏み込みました。これまでの株主提案を意識したのでしょうか。

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