今年初めごろまでの標準的な経済展望は次のようなものだった。食品の値上がりを主因とした物価上昇はしだいに収まる一方で、高めの賃金上昇が続くので、やがて実質賃金はプラスになる。日本経済はデフレから脱却し、家計の消費も景気を下支えする──。
現実の経済もほぼそのシナリオどおりに推移し、前年比マイナスが続いていた実質賃金(帰属家賃を除く総合での実質化)は、2026年1月から3カ月連続でプラスとなった。しかし、このシナリオの持続性が怪しくなっている。
イラン情勢に伴ってホルムズ海峡が封鎖されたため、石油の輸入価格が再び上昇し始めたからだ。これに対してどう対応すべきか。
ここで参考になるのが、1970年代半ば以降に起きた2次にわたる石油危機の経験である。今回のホルムズ海峡問題と石油危機とでは、石油価格上昇の度合いは大きく異なる(石油危機時の値上がりが圧倒的に大きい)。また今回は、備蓄が豊富にある一方、ナフサの不足問題が起きていることなども違う。ただ、ここでは重要な次の2点に絞って考えよう。
石油消費の節約と賃上げ
この記事は有料会員限定です
残り 893文字


