また、これまで主流だったゲノム検査が、50〜700遺伝子だけを拾い読みするものだったのに対し、最新の全ゲノム解析は、30億塩基対にわたる「設計図一冊を丸ごと」読み解きます。この分野で最先端を走るオランダでは、臨床現場でこの検査を6営業日で行っているそうです。
日本は、塩崎恭久元厚労相が会長を務め、国会議員や科学者で構成される「ゲノム医療推進研究会」が、今年4月に「がん遺伝子パネル検査の運用制限撤廃」や「保険適用の拡大」、「創薬・医療実装の好循環の早期実現」を目指すべく提言を発表しています。今後の動向に注目です。
最新の膵臓がん検診と診断
抗がん剤やゲノム検査だけでなく、検診・診断においても、膵臓がん対策は進歩しています。
現在のところ、症状がない一般の人に向けた膵臓がんの有効ながん検診は確立されていません。しかしながら、「膵臓がんを発症しやすい高リスクな個人を特定し、定期的な画像検査を行うこと」は、早期発見に向けた最も確実なアプローチとして、国内外のガイドラインで推奨されています。
血縁者に膵臓がんの人が複数いる(特に第一度近親者:親・子ども・きょうだいに膵臓がんの人がいる)人や、BRCA1などの遺伝性乳がん・卵巣がん症候群に関連する遺伝子変異を持つ人、遺伝性膵炎の人、膵管内乳頭粘液性腫瘍や膵嚢胞(のうほう)を指摘されている人がハイリスク群です。
また、糖尿病、慢性膵炎、肥満、喫煙や大量飲酒歴のある人も、リスクがあります。
前述したハイリスク群に対しては、主にMRI検査と超音波内視鏡検査(EUS)を用いて、早期発見に努めます。MRIは放射線被曝がなく、1センチ未満の小さな嚢胞性病変を見つけ出すのに優れています。EUSは、内視鏡の先端についた超音波機器で、胃や十二指腸から膵臓の様子を見ることができるため、CTでは見えにくい病変を探し出すのに優れています。
ガイドラインでは、これらを通常1年に1回の頻度で行うことが推奨されています。
