さらに、急性腎障害は「薬の服用によって起こることもある」ということも覚えておいてください。
とくに注意をしてほしいのは、高血圧で降圧剤を飲んでいる人や、糖尿病で血糖値を下げる薬を飲んでいる人です。なぜなら、薬によって血圧や血糖を下げすぎてしまうと血流量が大幅に低下することになり、それによって急性腎障害を発生させてしまうケースが目立つからです。
ご存じの方も多いと思いますが、降圧剤で血圧を下げすぎてしまうと、血液を十分に循環させることができなくなって、立ち上がったときにフラフラしたり、急に意識が遠のいたりするようになります。また、同様に、薬で血糖値を下げすぎてしまった場合も、低血糖で脳に糖が行き渡らなくなって、頭がクラッとしたり意識レベルが低下したりするようになります。もし、車の運転中や階段、駅のホームなどでそんな事態に陥ったら大事故につながりかねません。
とりわけ、夏場は発汗によって体の中の水分が少なくなっていて、薬の濃度が上がり、薬がより効きやすい状態になっています。こうした脱水気味のときに血圧や血糖値の薬を飲むと、いつもより余計に下がってしまい、「下げすぎによる症状」がたいへん現われやすくなるのです。
こうした状態に陥ると、腎臓を巡る血液量も一気に減ってしまうため、当然、急性腎障害を起こすリスクもグッと高まることになるわけです。
腎機能を守るには体から水分を枯らしてはいけない
おそらく、みなさんの中にも降圧剤や血糖値を下げる薬を服用している方が少なくないでしょう。高血圧や糖尿病は慢性腎臓病を引き起こす「原疾患」とされているため、腎機能に不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そんなみなさんは、この夏、「脱水」とともに「薬による血圧や血糖の下げすぎ」にも十分に気をつけて、急性腎障害から身を守っていくようにしてください。
もっとも、水分摂取に関しては例外のケースがあります。慢性腎臓病が悪化して人工透析目前のG5の段階になると、腎機能がほぼ停止のような状態になって体内の水分をうまく調節できなくなってきます。この段階に該当する方は「水分制限」が必要になるので、水分摂取に関しては医師の指示に従ってください。
ただ、たとえ慢性腎臓病であっても、これ以前の段階の方は脱水リスクを避けるための小まめな水分摂取が欠かせません。むしろ、「腎機能を守っていくには体から水分を枯らしてしまってはいけない」と肝に銘じておくようにしてください。

