とりわけ、脱水症状や熱中症によって急激に機能を低下させてしまいやすいのは腎臓です。
みなさんは「急性腎障害(AKI)」という病気を耳にしたことがあるでしょうか。
これは、血流量の急な減少などによって、数時間から数日の間に腎機能が急激に低下してしまう疾患です。重症になると免疫力が落ちて感染症に罹りやすくなり、時には多臓器不全に陥って命を落とすこともある怖ろしい病気です。
この急性腎障害は腎機能が低下した人に発生しやすく、とくに夏場に発生するリスクが高いとされています。
夏、大量の発汗や激しい運動、屋外作業などによって体内の水分量が減少して脱水状態に陥ると、全身の血流量や腎臓を流れる血液量がガクンと減ってしまうことになります。すると、腎臓が酸素不足に陥って、急性腎障害を起こすリスクが大きく高まることになるわけです。
「トイレが近いから水分を控えておこう」は絶対にNG
なかでも急性腎障害に気をつけなくてはならないのは高齢の方々です。高齢者はのどの渇きや暑さを知覚しづらく、かなりの高温でも平気な顔をしているような人が少なくありません。なかには、酷暑の中でも水も飲まずエアコンもつけずにやり過ごしているような人もいらっしゃいます。
そんなことをやっていたら脱水症状になって当然です。最近は、夜、寝ているうちに大汗をかいて、脱水や熱中症に陥る人も増えています。
ですから、腎機能が低下している高齢の方々は、急性腎障害を避けるためにも小まめな水分摂取や室内温度管理を徹底するようにしてください。高齢者の場合、「のどが渇いた」と感じたときには、もうとっくに脱水状態になっていると思ったほうがよく、たとえのどの渇きを感じていなくても小まめに水を飲む姿勢が大切になります。また、暑い日の運動や散歩、庭作業などは、できるだけ控えたほうがいいでしょう。
それと、高齢者にはトイレが近いのを気にして水分摂取を躊躇する人も少なくありません。「夜中にトイレに起きるのは嫌だから寝る前の水分は控えておこう」「トイレが心配だから、外出前に水分を摂るのはやめておこう」というわけですね。
しかし、これは「いちばんやってはいけない行動」です。このように水分摂取を控えていると、血液の粘性が高まってしまい、急性腎障害だけでなく、脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクも高まります。夏場、水分を控えるような行動をとるのは、命に関わる大病につながると心得ておくべきでしょう。

