第三の課題は、「SNSがすでに社会インフラとして定着」している点である。連絡手段として定着しているツールを、年齢だけで一律に禁止するのは現実的ではない。
また、専門家からは「SNSの全面的な禁止は複雑な問題に対する安易な解決策であり、真のリスク要因を覆い隠してしまう」と警鐘が鳴らされており、総務省公表の第一次報告書案でも「サービスごとに設計・特性が異なることから、一律の年齢制限をかけることは望ましくない」との意見が盛り込まれた。そのため、ダイレクトメッセージ(DM)の利用や知らない人からの検索機能などを年齢に応じて段階的に制限するといった、柔軟な仕組みの設計がSNS事業者に求められる。
「有害情報の監視」に限界、どうすべき?
第四に、「有害な情報を完全に監視することには限界がある」点も指摘しておきたい。規制を逃れるために隠語が使われたり、画像や動画で巧妙にやり取りされたりするケースは後を絶たない。実際、日本国内においても、生成AIを用いて児童の画像を性的に加工し、SNS上で販売や脅迫を行うといった巧妙かつ悪質な事案が警察庁によって多数確認されている。
また、AIによる監視も万全ではなく、無害な投稿を誤って消去してしまう副作用への配慮や、不服申し立ての手続き整備なども不可欠である。実際に、先行してルール整備を進めるヨーロッパなどの国際基準においても、誤った判定に対する不服申し立てのルートを明確に設けることがSNS事業者側に強く求められている。
こうした隙を防ぐためには、SNS事業者側に検知体制の強化を求めるだけでなく、青少年には安全な保護措置を初期設定(デフォルト)としたり、複雑な個別設定を強いるのではなく、OSの仕組みと連携して保護者が直感的に理解・判断できるシンプルな管理・承認手段を提供したりするなど、対策が必要となる。
