以上の現状と課題を踏まえれば、日本が取るべき望ましい方向性は、単に「使わせるか、使わせないか」という二極論でSNS事業者に一律の制限や罰則を押し付けるのではなく、実効性とプライバシー保護のバランスを取った仕組みを社会全体で構築することである。
解決策のカギは「OS側のAPI」
具体的には、個別のアプリごとに身分証の提示を求めるのではなく、スマートフォンを動かすAndroidやiOSといったOS側の仕組み(API)を活用することが、現実的な解決策として期待される。
総務省公表の報告書案においても、スマホの普及に伴い携帯電話事業者のフィルタリングサービスにのみ過剰な役割を期待することには限界が生じていると指摘されている。そこで、従来のフィルタリングに代わる新たな「技術的保護手段」として、iPhoneのスクリーンタイム機能やGoogleのファミリーリンクのようなOS事業者が提供する保護機能の有用性を踏まえ、その提供を義務づけるべきではないかとの踏み込んだ提言がなされている。
実は現在、これらのOSプラットフォームでは年齢確認用のAPIの準備が整いつつあり、これを活用すれば、アプリ側には過剰な個人情報を渡さずにOSの機能を利用して安全に年齢を保証する共通の仕組みを導入することが可能となる。
こうしたOSレベルでのプライバシーに配慮した共通の年齢確認システムを基盤としつつ、総務省公表の報告書案でも求められているように各SNS事業者自らがサービスごとのリスク評価を実施・公表し、年齢に応じた段階的な機能制限のルール作り、事業者の検知体制の強化、そして保護者が適切に関与できる管理手段の提供など、多角的なアプローチによって青少年の安全なデジタル環境を確保していくことが求められる。


