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映画『マイケル』で性的虐待疑惑がカットされた理由 遺族の意向ではない「想定外の事情」とは?

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ジャファー・ジャクソン マイケル
マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』© Glen Wilson/Lionsgate
  • 猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト
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と聞くと、なんとうまく考えたものかと思うだろう。しかし、これは決して製作側の狙いではなかった。最初の脚本は、そこをしっかり扱っていたどころか、映画は、警察が「ネバーランド」にやって来る93年のシーンから始まっていたのだ。物語はそこから過去にさかのぼり、後半でこの部分に再び追いつく形だったのである。

しかし、脚本通りに撮影を終えたところで、問題が浮上した。その93年の出来事を出すことは法的に許されなかったのだ。

当時13歳だった息子が「ネバーランド」でジャクソンから虐待を受けたと知った父親エヴァン・チャンドラーは、警察に通報するとともに、ジャクソンに対して民事訴訟を起こした。ジャクソンは罪を否定するも、チャンドラー一家に2500万ドルを支払うことで和解。

和解の際の条件とは?

チャンドラー一家が協力をやめたことで、警察の捜査も打ち切りとなった。その時に結ばれた条件の中に、将来、映画を含む商業的なプロジェクトでこの件を出してはならないという条項が含まれていたのである。

ジャクソンの遺族と彼らの弁護士がなぜそんなに大事なことを忘れていたのかは、謎。とにかく、そうでなくても1億5000万ドルがかかっていた映画は、大幅な脚本の書き直しと撮り直しを余儀なくされた。再撮期間は22日。「Wall Street Journal」によれば、新たにかかる費用はジャクソンの遺族が出したという。

ジャクソンがついに父親の支配を離れるというエンディングになったのは、こんな思いがけない出来事のせいだった。映画で扱う時期を短縮したことで、3時間もありながら駆け足すぎるという問題も解決されるというメリットもあった(とはいえ、2時間強の完成バージョンも、まだどこか駆け足な感はあるのだが)。彼が自由になるという、前向きな形で映画が終わるのも、観客には気持ちがいい。

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