このとき同社では、工事現場など不安定な場所で筆記が必要になる人向けに、速書きや上向き、湿った紙にも書きやすいボールペンを開発。また、背表紙のすき間にクリップを差し込むと、手帳や本と一体になるという、ニッチなボールペンを発売している(現在は終売)。
「他社と同じことをしても、勝ち目はない」
その後、2010年代に入ると、今度はシャープペン市場に大きなブームが巻き起こった。三菱鉛筆が発売した、芯が回ってトガり続けるシャープペン「クルトガ」のヒットを皮切りに、各社が付加機能の開発競争に火花を散らし始めたのだ。ZEBRA(ゼブラ)は芯が折れない機能を、Pentel(ぺんてる/現アストラム)は自動で芯が出てくる機能を付け、消費者の目を引いた。
だが、この時点でトンボ鉛筆はシャープペンの開発ノウハウも、市場シェアも、何も持っていなかった。意外に思われるかもしれないが、鉛筆や消しゴムと違って、シャープペンでは超後発組なのだ。しかし、「ニッチなトップシェアが得られる領域を作ろう」と参入を決意した。
「他社が機能を足す方向で競っているなかで、うちが同じことをやっても勝ち目はありませんでした。『その土俵でアドバンテージを得るためにはどうしたらいいか』と考えたときに、『MONO』ブランドの価値を最大限に使おうということになったんです」(亀井さん談)
そのとき役立ったのが、2002年(平成14年)に策定されていた「MONO」の価値規定だ。「日々の知的活動を完璧にサポートする、シンプルでスマートなデスクの右腕」というブランドステートメントから、本質的な機能・品質に絞って開発を進めた。
