――2月のアメリカ・イスラエルによるイランへの攻撃で、ホルムズ海峡が封鎖されました。世界に大きな衝撃を与えましたが、酒井社長は当初どう受け止めましたか。
正直に言って、この事態は予想できていなかった。もちろん、緊張が高まっていることは認識していた。実は開戦の1週間ほど前にも、私は中東を訪問していた。産油国の方々や当社の駐在員とも話をしていたが、当時、特別な危機感を覚えることはなかった。
ところが、ホルムズ海峡の封鎖という最悪の事態が実際に起きてしまった。とにかく全世界の原油を徹底してかき集めるよう、東京、シンガポール、アメリカ、オーストラリアの調達部隊に指示を出した。国家備蓄の迅速な放出もあり、ホルムズ海峡を通らない原油で何とか海峡封鎖前の水準に近い量を確保できている。
――ホルムズ海峡経由に原油輸入の8~9割を依存することのリスクが顕在化しました。北米産や中南米産の代替調達を進めていますが、今後は原油調達の多角化など、見直しが必要ではありませんか。
エネルギー安全保障のため、中東依存度の引き下げについても議論は行われるべきだ。ただ、それだけでは駄目だ。多角化すればいい、という短絡的な問題ではないことは強調したい。
例えば分散先がアメリカのような友好国であったとしても、バイデン前政権と第2次トランプ政権とではエネルギーの開発、輸出に対するスタンスはまったく異なる。もし中東域外の国から継続的に調達するのであれば、その国との関係構築が不可欠だ。
国家間の関係を築き上げていくのには時間がかかる。官民ともに良好な関係にある中東地域、ホルムズ海峡経由の中東産原油が日本のエネルギー安全保障に重要であることは変わらない。
製油所閉鎖は撤回、操業維持投資は3割増
――本決算と併せ、2026~30年度の5カ年計画を公表しました。30年度税引き前利益目標を3600億円(25年度実績は日本基準で約2400億円)に引き上げる野心的な計画もさることながら、既存事業、とくに燃料事業への投資を大幅に増やすことが印象的です。
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