これは精神論ではなく、口うるさい親より、白い部屋を作っている親のほうが構造的に強い、という話だ。優秀な親は指示を出さない。子どもが「自分で決めた」と錯覚するような構造を実は作っている。
これは大人にも応用できる。本を読みたいなら、まずスマホを別室に置く。テレビの主電源を切る。リビングの机の上に、読みかけの本を1冊だけ置いておく。それだけで、読書時間は驚くほど増える。「読む意志」ではなく「読まざるをえない環境」を整備する。これが第2の処方箋である。
ここで1つ告白しておく。私は、家では一切本を読んでいない。本棚にどれだけ本を並べても、家で本を開こうとすると必ずスマホに負ける。だから本を読むときは家を出る。
しかも、ただの図書館では足りない。私が選んでいたのは、入り口にスマホを預けるロッカーが設置されているタイプの図書館である。物理的にスマホを切り離さないと、私はもう本を読めないと自覚しているからだ。
ほかにも大学生時代に集中して読書や勉強をしたいときには、地下にある、電波が圏外になる安い自習室を借りていた。ここまでしないと現代人は本を読めない。これが、「本を読むのが仕事」のはずの私の、嘘偽りのない現在地である。
そしてこれは、そのまま子育てに応用できる。子どもにとっての「白い部屋」をどう作るかが、親の最重要任務の1つだ。
- 勉強机の上には、本以外何も置かない
- リビングのテレビはつけっぱなしにしない
- 子どものスマホは、勉強時間中はリビングの箱に入れる(できれば親のスマホも)
- 図書館に親子で出かけ、2時間そこで「過ごす」だけの日を作る
「勉強しなさい」と言わない親は、白い部屋を作っている。「本を読みなさい」と口うるさい親は、自分のリビングが子どもにとっての「色とりどりの部屋」になっていないか、まず点検すべきだろう。スマホをスクロールしている親の隣で、子どもが本を開くわけがない。
処方箋3. インプットを信じる
国語の成績が伸び悩むご家庭から相談を受けるとき、私がほぼ必ず確認するのは、インプットの絶対量である。
子どもの能力を上げたいとき、多くの家庭は「アウトプット」に偏る。問題集を解かせる、作文を書かせる。もちろん必要ではあるのだが、これはあくまで「現在のレベルを確認・整理する」作業に近い。
