新卒採用における「売り手市場」状態が続いている。
文部科学省と厚生労働省の調査によれば、2026年3月卒業の大卒者の就職率(26年4月1日時点)は98.0%と前年度から横ばいで高止まりが続いた。人手不足環境下で、若年雇用に対する引き合いは依然として強い。

少子化により大卒者数自体が頭打ちとなるなか、若手人材の不足感は続いており、企業側の採用意欲は衰える気配が乏しい。内定の早期化・複数化も常態化しているようだ。
一方で、昨今しばしば話題になるのがAIの労働市場への影響だ。AIへの曝露度(業務がAIによって代替または補助される可能性)が高いホワイトカラー職、中でもエントリーレベルの仕事はAIによる代替が進みやすいとされ、実際に海外ではその影響が顕在化する動きがみられる。
アメリカでは若年失業が拡大中
米ニューヨーク連銀の集計では、22~27歳の大卒者の失業率は26年3月時点で5.6%と、全労働者(16~65歳)の4.2%を1.4ポイント上回った。従来、大卒新卒者の失業率は全体平均を下回るのが常だったが、23年以降にこれは逆転しており、差は開く傾向にある。

特に、顕著な影響がみられているのはエンジニア、コンピューターサイエンスやファイナンスなどだ。AIが業務の生産性を爆発的に引き上げたことで、実務部隊としての新人を多数抱える必要性が薄れたということなのだろう。
スウェーデンの実証研究では、生成AIへの曝露度が高い職業では22~25歳の労働者の採用が25年初頭までに5.5%減少した一方、50歳以上の雇用はむしろ1.3%増えたことが示されている(Lodefalk et al., 2026)。
AIが若年層の「仕事の入り口」を狭めている、という構図は欧米で確かに進行中である。
日本にも同じ波が訪れるのは時間の問題……なのかもしれない。だが、その時間は思いのほか長いのではないか、と筆者は考え始めている。
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