翌日、参加者たちは再び実験室に呼ばれ、前日に見たのと「同じ」画像、「初めて見る」画像、そして、とてもよく似ているが少しだけ違う「よく似た画像」を混ぜて提示されました。
ここで重要なのは、この「よく似た画像」をきちんと見分けられるかどうかです。
単に「見たことある気がする」と答えるのではなく、「これは昨日のものと似ているが、同じではない」と判断できるかどうかが、記憶の中枢である海馬の働きをよく反映すると考えられています。
効くのは「量」と「タイミング」
結果、学習後にカフェインを飲んだグループは、偽薬グループに比べて、この「よく似た画像」をきちんと見分ける力が有意に高くなっていました。
一方で、まったく同じ画像を覚えているかどうか、まったく新しい画像を新しいと判断できるかどうかについては、両グループで大きな差は出ていません。
つまり、カフェインは「なんとなく覚えている」レベルの記憶ではなく、似た情報同士をきちんと区別するような、やや細やかな記憶の質を高める方向に働いていたと解釈できます。
統計的には、紛らわしい画像を見分ける指標がカフェイングループで有意に高くなっていました。
さらに別の実験では、カフェインを飲むタイミングも変えて検証しています。学習から1日たったあと、テストの1時間前にカフェインを飲んでもらった場合には、成績に目立った差は見られませんでした。
このことから、カフェインは「思い出す場面」で効くというより、「覚えた内容をじっくり脳にしまいこむ過程(記憶の固定化)」を助けている可能性が高いと考えられます。
また、量についても調べられています。100ミリグラム程度では効果ははっきりせず、200ミリグラム前後で最も安定して成績がよくなっていました。
300ミリグラムでもよくなる傾向はあるものの、サンプル数が少なく判断が難しいという報告です。いわゆる「ちょうどよい量」があり、飲めば飲むほどよいという話ではないようです。

