しかし、その器を彩る料理は何かと問うと、企業の担当者は「これから考えます」と答える。材料が決まっていなければメニューもこれから、料理人や、その料理を出すお店も決まっていないからだ。
つまり、どんな領域で自動運転技術を社会実装するのかは後まわし。これが電動化であれば大容量バッテリーや、1300kW以上の超急速充電システム(例/BYD「フル液冷メガワット級フラッシュ充電ターミナルシステム」)などで乗りきろうとする(全世界で8万箇所におよぶテスラの「スーパーチャージャー」は250kW)。
よって、社会実装の段階になって初めて各所に無理が生じていることが露呈し足並みが揃わず、最悪の場合、普及せずに終わることもある。
世界と日本における考え方の違い
対して日本企業はバックキャスティングで信を問う。「こんな料理を作って、この器で出したら、こういった人たちに喜んでもらえるだろう」という視点からアプローチする。だから、必要な素材は何か、どんな調理方法がいいか、器の形や素材はどれがいい? どこで売り出すなど、作る料理を決めた時点ですべてが揃っているのだ。
つまり、おいしい料理を作って人々を笑顔にするという最終目的から逆算で各要素が決められるので、どのタイミングで、どんな技術や法律が必要なのか、作る側と利用する側の双方での理解が促進される。そして結果的に人/金/モノに無駄が生じず、社会受容性の高まりも早くなる。
「いや、それだから日本は遅いんだ」との声もある。ある自動運転技術の開発者は「60%完成した時点で世に送り出し、ソフトウェアアップデートで対応すれば欧米や中国並みのスピード感が保てる」という。しかし、「さまざまな小さなトラブルへの対応には時間がかかる。また、厳格な法規対応への変更にしても手続きにやはり時間がかかり、結果的に非効率になる」とも語る。
