11年の『ドライブ・アングリー』は9位デビュー、同年公開でヒット作の続編である『ゴーストライダー2』も期待を下回り、窮地から救ってはくれなかった。彼が経済的トラブルに陥ったのは、ちょうどそんな時である。
「Forbes」誌から「最も稼ぐハリウッドスター」のひとりに挙げられたこともあるケイジはかつて、バハマの島、イギリスやドイツの古城、ニューオリンズの“呪われた家”、プライベートジェット、超高級ヨット、恐竜の頭蓋骨、コミックブックの初版本、ワニや蛇などエキゾチックなペット、20台以上の高級車などに、惜しみなく金を費やした。
しかし、02年にまでさかのぼる未払いの税金や多額のローンを払えなくなり、それら愛着のある資産を差し押さえられてしまうのだ。
B級映画に出まくる日々
知り合いから「自己破産するべきだ」とのアドバイスも受けたが、かたくなに拒否。かくして、ノンストップでB級低予算アクション映画の仕事を受ける日々が始まる。それらの多くはDVD直行で、しばらくするとケイジはアメリカ人からすっかり忘れられてしまった。日本ではそのうちいくつかが劇場公開されたため、「まったく姿を見なくなった」というほどではなかったかもしれない。
それでも、金のためだけにやみくもに出ていたわけではなく、自分なりに興味のあるものを選んでいたのだと、本人は主張する。いずれにせよ、現在の日本人妻との出会いはそんな中で訪れたのだし、その意味でもハードワークの価値はあった。
その映画は、園子温監督の『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』('21)。元々はメキシコでロケをする予定だったが、園が心筋梗塞で倒れると、ケイジは「舞台を日本に移してはどうか」と提案。その現場にいた大勢のエキストラのひとりが、彼の5度目の妻となる芝田璃子さんだったのである。ふたりは21年2月に結婚。翌年には娘が誕生した。
