多くの企業は、「安心して発言できる場」をつくろうとしています。
1on1を導入する。雑談を増やす。上司が「何でも言ってね」と呼びかける。ですが、それでも現場の空気が変わらないことは少なくありません。
なぜでしょうか? 理由は単純です。「言っても変わらない」と社員が感じているからです。
「心理的安全性」が機能しない本当の理由
人は「安全だから話す」のではありません。「話した結果、ちゃんと受け止められ、組織が動いた」という実感を持てたとき、初めて安心して声を出せるようになります。
つまり、順番が逆なのです。
私はこれまで、多くの企業で「風通しが悪い」という相談を受けてきました。しかし、実際に問題なのは“空気”ではなく、“声の流れ”であることがほとんどでした。
現場には、実は多くの声が存在しています。
「この施策はうまくいかない気がする」
「顧客の反応が変わってきている」
「このやり方は現場で無理がある」
しかし、それらは会議の場では消えていきます。なぜなら、社員の側に次の3つの感情があるからです。
「何を言えばいいかわからない」
「言っても変わらない」
「言ったら面倒になるかもしれない」
この3つが積み重なると、組織は静かに沈黙していきます。
すると、問題は表面化しないまま蓄積されます。経営は現場の異変に気づけなくなります。部門間の断絶も深まっていきます。
一見すると穏やかな組織に見えます。しかし実際には、“誰も本音を言わない組織”になっているのです。
