実際、カニバライズのリスクを上回る相乗効果は、現場でも実感されている。イノゲート大阪の責任者である富田さんは、もともとルクアイーレの梅田 蔦屋書店 SHARE LOUNGEを担当していた。そのとき訪れていた常連客を、イノゲート大阪の店で見かけるそうだ。
「あ、あの方見たことがあるな、ということがよくありますね。イノゲート大阪はオフィスビルに位置するため、静かな環境で仕事をしたい層が梅田 蔦屋書店 SHARE LOUNGEから流れてきているようです。一方の梅田 蔦屋書店 SHARE LOUNGEは、商業施設内で若年層・買い物客の利用が多く、土日は混雑して入れないお客様が出る状況が続いていました。イノゲート大阪にお客様が来られた分、入れる方が出ているのではないでしょうか」
つまり、2店舗が、互いの"取りこぼし"を吸収し合うウィンウィンの関係なのだ。
ドミナント出店の効果は、新規顧客の取り込みだけにとどまらない。SHARE LOUNGEというサービス自体の認知拡大にも寄与している。
「そもそもSHARE LOUNGEというサービスを関西で知らない人のほうがまだ多い。でも、梅田 蔦屋書店のSHARE LOUNGEが先にあったことで、『隣にもできたんだ』と使ってくださる方が多いんです。アプリの利用率も、他の新店に比べてうちはオープン直後から非常に高い水準で立ち上がりました」(富田さん)
ターミナル駅でドミナントを形成することは、相互送客と認知拡大の両方を同時に取りに行く戦略であり、新店の立ち上がりスピードを加速させる装置でもあるのだ。
「乗降客数だけじゃない」もう一つの出店判断
現在、急速に増加しているSHARE LOUNGE。その出店判断の基準は何か。最寄り駅の乗降客数は基準の一つだが、それが全てではないと川口さんは語る。
象徴的なのが、福島県福島市、2029年度にオープンを控える、JR福島駅の再開発案件だ。
「福島駅の再開発ビルに入って欲しいと再開発組合の方からお声がけをいただきました。SHARE LOUNGEを出すことで、街のにぎわいづくりに貢献させていただく狙いです。SHARE LOUNGE単体ではおそらく出店しない立地ですが、地域創生や取り組みの文脈、目指す方向性に共感できる場合は、その限りではないと考えています」(川口さん)
