以前から「血のつながりにはこだわらず、社会のサポートを必要とする新しい命を迎え入れたい」という強い信念を持っていた沈氏は、夫婦で約2年間にわたる厳格な審査と心理的準備を経て、血縁関係のない女児(愛称:麻糬=おもち)を特別養子縁組で家族に迎えている。
出馬会見でこの個人的な体験を市政改革に重ね合わせ、次のように語った。
「娘を迎え入れ、家族になっていく過程を通じて、私は深く確信しました。『大きな変化は、困難に思えても可能である。必要なのは、まず始めること、そして決心することだ』と」
「優しい父親」をアピール
これは、長年国民党の地盤であり保守的で「変えるのが難しい」とされる台北市であっても、決意と行動があれば必ず生まれ変わらせることができる、という強いメッセージである。
先行する闘士のイメージに対し、愛娘の話になると顔をほころばせる「優しい父親(柔情)」の姿を見せることで、極端なイデオロギーを持つという反対派からの批判を和らげ、幅広い有権者から親近感と共感を得る狙いがうかがえる。
「無限城論壇」や「三次元空間の統治能力」といった独自のビジョンを掲げる沈氏は、最終的に「中国の浸透工作や有事に耐えうる強靭な首都の構築」を最大の争点に据えて戦うと見られる。
中国当局の制裁対象に指定され、日常的に脅迫状を受け取るなど家族の安全への懸念を抱えながらも、あえて愛娘の存在を明かす背景には、「それでも私は、この子の未来の台湾(台北)を守るために決して引かない」という覚悟があるのだろう。その揺るぎない姿勢が、支持者の熱狂と結束をさらに高めていくと考えられる。
