有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

「波平とフネに第4子が生まれたら…」母娘の同時育児の危機を、極めてまれな「閉経」の獲得で回避した人類の進化

6分で読める
3世代家族の写真
もし波平とフネに第4子が生まれたら、何が起きるのでしょうか(写真はイメージ、写真:buritora/PIXTA)
  • 渡辺 佑基 総合研究大学院大学統合進化科学研究センター教授

INDEX

なぜ人間の女性には「閉経」があるのでしょうか。じつはその理由は、私たちが生き残るためにたどり着いた、とても賢い仕組みだったのです。サザエさん一家に例えたお話を、海洋生物学者・渡辺佑基氏の書籍『鳥は飛びながら眠る』から抜粋・編集してお届けします。

いきなりだが、ヒトはその繁殖生態からすると極めて異常な生物である。ヒトのメス(女性)は繁殖を終えた後も長く生きるが、そんな生物は他にほぼ例がないからだ。

ほとんどの生物にとって、繁殖を終えた時=死ぬ時

地球上で暮らす生物種のあらかたは、オスもメスも雌雄同体も、生きる限り繁殖能力を保つ。その中には、一度きりの繁殖で生涯を終える形(昆虫のカマキリや魚のサケなど)もあれば、10年、20年と生き長らえながら毎年、あるいは複数年に一度の繁殖を続ける形(多くの鳥や大型哺乳類など)もある。いずれにせよ、繁殖を終えた時が死ぬ時だ。生きることの至上の目的は、己の遺伝子をなるたけ多く将来に残すことなのだから、当然である。

ひるがえってヒトはどうか。なるほどオス(男性)は生涯にわたって繁殖能力を保つ。老年になると精子の生産能力が衰えるが、生産停止とはならない。

ところがメス(女性)は、個人差はあれど50歳前後で閉経し、すなわち排卵・月経が止まり、繁殖能力をすっかり失う。加齢とともに徐々に能力が低下するのでなく、ある年齢を境にたちまち衰え、完全停止に至る。

にもかかわらず、それは生涯の終わりを意味せず、女性は閉経後も長く生きる。平均寿命が90歳近い日本人女性の場合、典型的には人生の半分近くを閉経した状態で過ごす。

2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数