「一般教員では難しいことでも、副校長なら学校全体を見ながら研修を組める。そこはとても面白いですし、やりがいを感じる部分です」
茂木氏はそう語る。副校長だからこそ見える学校全体の課題や、教員一人ひとりの状況があるという。
「教員一人ひとりの強みや弱みを把握して、個別プログラムを作りたいんです。授業を見てフィードバックして、次の課題を整理して、また伴走していく。でも今は、その前に日々の業務で時間が埋まってしまいます」
それでも、限られた時間の中で若手教員の授業を見て回り、日常的に声をかけながら支援を続けているという。
茂木氏は今年度、毎朝5時台に出勤。児童が登校する前に集中して事務作業を終え、日中は教職員や保護者、地域対応に時間を使う。一方で、夕方は原則17時30分退勤を目指している。そのために、留守番電話対応の開始時刻を16時45分へ前倒しできないか校長と調整している。
「『管理職は遅くまで残るのが当たり前』をやめないと、学校文化は変わらないと思うんです」
ただ、その働き方は決して余裕があるわけではない。異動したこともあり、4月、日曜日の休みは1日だけだったという。それでもあえて「早く帰る姿」を見せるのは、限られた時間の中で成果を出す文化を学校に根づかせたいからだ。
茂木氏は、「副校長が本来の業務に集中するためには、個人の努力だけでなく、制度改革も必要だと思います」と話す。
「例えば、書類の電子化やペーパーレス化を進めたうえで、長期休業中は週に2日くらいは在宅勤務ができるようにする。管理職も柔軟な働き方があってもいいのではないかと思っています」
副校長個人の“頑張り”に頼るのではなく、働き方や業務設計そのものを変えていく必要がある——。茂木氏はそう訴える。
「“管理職”という言葉に、ずっと違和感があるんです」
茂木氏が語ったのは、「未来支援職」という言葉だ。
副校長の役割は、教職員や子どもを管理することではなく、子どもの成長を支え、教員が力を発揮できる環境を整えることにあるという。
「管理も確かに必要かもしれない。でも、本当は子どもと関わりたいし、子どもたちが育っていく環境をつくりたいんです」
「最後は副校長へ」という構造が続く限り、副校長は「なんでも抱える人」になりやすい。
しかし茂木氏は、本来の役割は管理ではなく、人と組織の力を引き出すことにあると考えている。茂木氏は、そんな副校長の役割を「未来支援職」と表現する。
“なんでも屋”から、支え合う組織へ
「理想はやはり、人材育成をしていきたいんですよね。でも、実際はなんでも屋ですね」
そう語るのは、立川市立幸小学校の副校長就任2年目の内海孝亮氏だ。副校長を目指した背景には、世代交代を支えたいという思いがあった。
