値上げの巧拙は、価格設定だけでは決まらない。値上げ時のコミュニケーション設計が、ブランドの記憶を左右する。
ココイチに見る、想起の現在地
ココイチには、トッピングを選ぶ時間そのものが、「また行こう」を支える体験になっている。
「今日は何を追加しようか」という選択体験は、単なる食事ではなく、カスタマイズの楽しさとしてブランドを記憶させてきた。ココイチは「安いカレー屋」というより、「自分好みに組み立てるカレー」のブランドだったとも言える。
金曜の昼、駅そばの店舗を訪れた。カウンターでは5人が食事中で、客層は単身者が中心だった。トッピングは、揚げ物を選んでいる客が目立つ。
タブレットで注文を進めると、かなりの時間をかけて画面を行き来した。ポークカレーをベースに、ほうれん草とハーフ豚しゃぶを追加。「何を選ぼうか」を考える時間は、まだちゃんとブランド体験として成立していた。特に「ちょいトッピング」の存在が、「少しだけ追加したい」という欲求に応えている点は秀逸だ。それでもタブレットを行き来しながら、「何を追加しようか」を考えてしまう。その力は、今もなお強い。
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【問われているのは「客が減ったか」ではない】
