私が住むアメリカ・ニュージャージー州のプリンストン近郊には、世界的な巨大製薬企業のオフィスがたくさんあり、薬学関係のエンジニアの労働市場を形づくっていますが、彼らの多くは、
・社内で長距離走の大会があり、若手に負けないようにエグゼクティブが密かに練習して入賞を狙っていたりする
などという業界カルチャーがあるのだそうです。
また、スポーツ活動というのは集団活動です。モチベーションを持って参加し、活動の中で指示に従い、ルールに従い、そのなかで集団としての成果に貢献することが重視されます。そのために「個々人がどう考え、どう振る舞えばいいか」という訓練を行うことは、社会に出てから必要なスキルの習得と重なってきます。
そうした活動に、思春期を通じて参加することの意義を、アメリカの大学は重視しているのです。
スポーツで重視される"中身"
ところで、大学入試において、スポーツ歴が大きな要素になるというと、それこそバスケットボールのレギュラー選手だとか、テニスのランキング入り選手だとか、いわゆる「スポーツ・エリート」が入試で有利になりそうです。
確かに、高い実績を出している受験生は入試では評価されますが、その一方で、競争が過熱することは避ける仕組みがあります。
仮にタイムや勝敗などの成績が平凡でも、4年間しっかり続けたとか、通年の活動に練習を含めて地道に参加したという記録は、入試では正当に評価されるからです。
日本の「ペーパー一発入試」の場合、進学校などでは高校2年生の秋で部活を引退するといったことがあります。入試のための勉強に専念する目的ですが、アメリカではまったくありえないことです。
大学に願書を出す12年生(※)の秋というのは、スポーツのうえでも重要なシーズンであり、たとえばエースだとかキャプテンなどになるのも、この学年だからです。
※アメリカは州や学区により学制が違い、最もポピュラーな5・3・4制のほか、6・2・4制、6・3・3制、6・6制などがある。12年生(5・3・4制などではハイスクール4年生)は日本の高校3年生にあたる義務教育の最終学年。
