不安とは脳の「高感度アラート装置」
なぜ私たちの脳は、これほど不安を感じやすくできているのでしょうか。なぜ、あとから振り返れば「大したことはなかった」と思えるようなことにまで、あれほど強く反応してしまうのでしょうか。
この問いを考えるうえで、とてもわかりやすいのが、進化医学の研究者ランドルフ・ネシーが示した「スモーク検知器原理」です。
火災報知器は、実際に火事でなくても鳴ることがあります。焦げたトーストにでも鳴りますし、湯気でも反応します。けれど、それで困ることはあっても、人は「この報知器は欠陥品だ」とは考えません。なぜなら、本当に危険な火事を見逃すより、空振りの警報が多いほうがずっとましだからです。
脳の不安システムも、それに近い構造を持っています。実際には危険がない場面でも、少し早めに、少し強めに反応してしまう。一見すると非効率ですが、進化の観点から見ればそのほうが合理的だったのです。
