若者に対しても基準は明確だ。
「家賃を半額にするわけですから、ソーシャルワーカーとしての役割は果たしていただく必要があります。声のかけ方やタイミングは本人たちに任せていますが、それを負担に感じる方は向いていません」
もうひとつ、鮎川さんが繰り返し強調するのが「介護はしない」という線引きだ。あくまで賃貸住宅であるため、介護が必要になれば外部サービスを利用してもらう。この境界線を問い合わせの段階から明確に伝えることで、入居後のトラブル予防につながっている。
ノビシロハウスには、秋田や神戸など全国から引っ越してきた入居者がいる。とはいえ同じような住宅をどこにでもつくれるわけではなく「一定の立地条件が必要」だと語る。
「将来的に住む人がいなくなる可能性のある土地や、山奥のような生活負荷が大きい場所だと難しいですね。高齢者には自立した生活を続けてもらいたいので、スーパーが近い、交通の利便性が高い、道が平坦であるといった条件は考慮します。でも都市部でなければダメというわけではないんです」
2027年には東京・東久留米で2号棟のオープンが予定されている。神奈川県・亀井野が2階建てのアパートなのに対し、東久留米は5階建て31室のマンション型だ。
「亀井野の形にこだわっているわけではありません。土地の用途地域や建ぺい率に合わせて、その場所でいちばん多くの部屋をつくれる形にするだけですから」
「施設に入る以外の選択肢」を当たり前にしたい
鮎川さんの視線の先にあるのは、高齢者の暮らし方そのものの変革だ。
かつて日本では、2世代、3世代がともに暮らすことが当たり前だった。しかし核家族化が進み家で看取ることが難しくなるにつれて、「老後は施設へ」という流れが定着していった。
「それが約30年前のこと。今の90歳以上の方がその第一世代です。施設という選択肢ができたこと自体はとても意味のあることだと思います。でも、それ以外の選択肢がほとんどないのは不自然なことではないでしょうか」
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【ノビシロハウスで実現したい暮らし】
