ソーシャルワーカーとして求められるのはふたつだけ。「いってきます」「お帰りなさい」といった日常的な高齢者への声かけと、月1回のお茶会の運営だ。その代わり、月7万円の家賃が半額の3万5000円になる(別途管理費1万円)。
若者は家賃が半額になる経済的メリット、高齢者は日常のなかに顔を合わせる相手がいる安心感を得られる。双方の利害がかみ合うことで、この仕組みは成り立っているのだ。
お茶会で交流を「偶然」ではなく「仕組み」に
では声かけのほかに、なぜ月1回「お茶会」を開催するのか。
その着想は、フランスの「隣人祭り」にある。自立支援型介護施設「あおいけあ」の運営者であり、ノビシロの取締役でもある加藤忠相さんが、学生時代に授業で聞いた話がきっかけだった。
2000年代のある年、フランスを猛暑が襲った。個人主義の国で近所付き合いが希薄だったこともあり、エアコンのない家に住む多くの高齢者が熱中症で命を落としてしまう。これが社会問題となり、あるNPOが「年に一度、中庭にテーブルと椅子を出してお茶を飲もう」という活動をはじめた。これが「隣人祭り」だ。
たったそれだけのことで、住人同士の関係が変わったという。「上の階には足の悪いおじいちゃんがいるんだ」「あの部屋には90代のおばあちゃんが住んでいるんだ」と、お互いの人となりがわかり、関心を払えるようになったのだ。
鮎川さんはこの「意図的な接点づくり」を参考に、「North棟」につくったカフェノビシロで月1回のお茶会を設定した。
「お茶会をきっかけに仲良くなって、なにかあったときに助け合ったり、有事の際に関心を払えたりする関係性を築くことが目的です」
筆者が取材のためにお茶会を見学した際にも、若者が「入院していたそうですが大丈夫でしたか」と70代の女性に声をかける場面があり、自然なやり取りに関心したものだ。
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【ソーシャルワーカーの役割は「見守り」ではない】
