「車や電車の中で、少しでも勉強したいというご家庭は多く、何かできないかと考えて、スマホのアプリ形式を採用しました。紙教材にはいいところもたくさんありますが弱点もあります。同じページを見ていると、位置で答えを覚えてしまうことがあるんですね。
でもアプリだとランダムに出題できるので、記憶の定着確認がしやすいというメリットがあります。もちろん、すべてをデジタル化などとは考えていません。今の紙と鉛筆の勉強法でうまくいっているお子さんは、変える必要はありません。あくまでも選択肢の1つとして提供しました」(広野先生、以降の発言同様)
さまざまな保護者のニーズをくみ取り、解決策を打ち出しているサピックス。その背景には、切実な保護者の悲鳴があるようにも感じられます。筆者が取材の現場で中学受験家庭からよく聞く言葉は「カリキュラムについていくのに必死。教材が思うように終わらない」というもの。
中学受験の入試問題レベルは、小学生が解く問題の限界値に達しているといわれます。その入試に対応するために教材量は多く、真面目な家庭ほど、「全部やらなければ」と追い込まれてしまいます。
その状況にはいかに対応するべきなのでしょうか? 広野先生の言葉は意外なものでした。
「100%やろうとすると、苦しくなりますよね。でも心配はいりません。実際、入試で求められるのは“満点”ではないんです。合格者平均点は6〜7割ということが多い。苦手教科で多少失敗しても、カバーすることは可能な水準です。
入試本番で、当日に4教科合わせて6~7割取れればいい。そう思えば少し肩の力が抜けるはず。全部の単元が得意になる必要はないし、難問よりもまずは基礎。教材に多少積み残しがあっても、当塾はスパイラル学習でまた出てきますから、保護者は完璧主義になる必要はありません」
管理しすぎると中学で自立できない
では、果たして子どもをサポートするときに保護者が見るべき点はどういったところでしょうか。
「至れり尽くせりで全部親が管理してしまうと、中学入学後に自学自習できなくなることも。子どもたちが自分で勉強する感覚を育てていくことが目的です。中学入試はゴールではないですから」
少々意地悪な言い方をすれば、難関校進学教室として知られているサピックスが、「中学受験は通過点」とはっきり口にするのは意外に感じられました。
