「中学に入ってから、その子が伸びていくことが大事です。そのために、われわれはさまざまな趣向を凝らしてきました。例えば授業中も、私語をするなという言葉は使いません。もしかしたら当塾の授業は騒がしくて驚かれるかもしれません。
講師には、子どもが話を聞かないなら、授業が面白くないだけだという意識があります。サピックスには、頭がよくてちょっと小学校で浮きこぼれてしまう子もいます。がり勉が集まっている、というイメージで語られることもありますが、四六時中机に向かっているというタイプは意外と少ない。
例えば今年の6年生入試直前期、正月明けに箱根駅伝のその年の順位を全部覚えているような子もいれば、トランプ政権やベネズエラ情勢を語る子もいました。大人びた子も幼い子もとがった子もいる。サピックスの教室はそんなふうにタイプの違う子たちの居場所になると考えています」
“できる子の塾”というイメージだけでは語れない、優秀な子や個性的な子を受け止める場になりたいという思いがあるというわけです。
中学受験は「家庭だけ」で戦わなくていい
共働き家庭が増え、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化した令和。少子化にもかかわらず中学受験率は高止まりが続き、これからも関心は高まっていくことが予想されています。
だからこそ今、求められているのは、「保護者が管理を全部背負う受験」ではなく、「家庭と塾が協働して子どもを支える仕組み」です。アプリやオンラインなどのツールを使いながら、それでも最後に必要なのは保護者が「全部完璧じゃなくていい」と思える余白でしょう。
子どもの意思を尊重しながら、保護者も無理なく学習に伴走することができれば、親子ともに受験がただ「しんどい」ものではなく、力を合わせて挑戦する意義あるプロジェクトになるのではないでしょうか。


