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古い映画も映画館で見られる。大学で初めて地方から関東に出てきた私には新鮮な楽しみで、いろいろ見た。その中にルイス・ブニュエル監督の『哀しみのトリスターナ』(1970年)も。貧乏な没落貴族が出てくるのだが、若者にこう言う。「働く人間は哀れだ 騙され 殴られる」「労働は呪いだ」「生活のための労働など不名誉だ」「いくら働いたところで 搾取する人間が腹を肥やすだけだ」「私は死んでも働きたくない」「よい暮らしとは言えないが 働かんで生きてる」
これは衝撃だった。当時の私は「労働は貴い」と思っていた。働かないと生活できないが、それだけでなく、人間は働くのが当然だと思っていた。働くことは良いことで、働かないのは良くないことだと思っていた。
まさか、働かないことを“誇り”にする人間がいるとは思わなかった。働くのは「哀れだ」「呪いだ」「不名誉だ」とたたみかけるように言われようとは。そういう考え方もあるのか! と頭をぶん殴られたようだった。考えてみれば、「いくら働いたところで 搾取する人間が腹を肥やすだけだ」というのは、まったくその通りなのだ。それなのに、なぜ自分は身を粉にして働こうなどとしていたのか? むしろ不思議ではないか。
仕事は貴い=宗教の亡霊?
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