クソが書名に入っていて強烈な『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』(デヴィッド・グレーバー/岩波書店)は、無意味で、不必要で、有害でさえある仕事が大量に存在していると指摘した。この本がベストセラーになったということは、多くの人が自分の仕事の無価値さと闘っているということだろう。
無意味な仕事が人を苦しめることは、ギリシャ神話の昔から知られていた。シーシュポスは神々をあざむいた罪で罰せられる。「神々がシーシュポスに課した刑罰は、休みなく岩をころがして、ある山の頂まで運び上げるというものであったが、ひとたび山頂にまで達すると、岩はそれ自体の重さでいつもころがり落ちてしまうのであった。無益で希望のない労働ほど怖ろしい懲罰はないと神々が考えた」とアルベール・カミュは説明している(『シーシュポスの神話』)。
ダナイデスという50人の娘たちも、死後に冥界で罰を受ける。水をくんでは水瓶にそそぎ、いっぱいにしなければならないのだが、水瓶の底には穴があいていて永遠にいっぱいにはならないのだ。
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