しかしソニーのスマートフォンの海外展開は、現状では決して順調とは言い難い。海外の家電量販店でもXperiaシリーズの展示がある国はあるものの、他のメーカーの圧倒的な製品数の陰に隠れて、目立たない存在になっているケースが多い。台湾や香港などのソニーストアでは大々的にスマートフォンの販売を行っているが、こうした展開はまだ限られた地域にとどまっている。
新生Xperiaをどこまでアピールできるか
昨年の「Xperia 1 VII」は初期ロットに不具合があり、日本はもとより海外でも回収・交換騒ぎがあった。また今年は「Xperia 1 VIII」発表直後にソニーの公式SNSアカウントが公開した写真作例が、AIを使ったにもかかわらず不自然に明るすぎる仕上がりだったことから、世界中から批判の声が相次いだ。せっかくいい製品を作ったにもかかわらず、昨年は製造工程の不具合、今年はマーケティングのミスで初動を誤った格好になった。
このようなことが相次ぐと「高価であるにもかかわらず、安心して手を出しづらい」という印象を市場に与えてしまう。そして一度損なわれた信頼を取り戻すのは難しい。今やスマートフォン市場の大半を占めるのは中国メーカーだが、それは中国メーカーが品質や機能を毎年改良し、ブランド力を着実に築き上げてきた結果でもある。前述したように、シャオミのライカカメラ搭載スマートフォンを「中国製だから」と揶揄する声は、かつてに比べて明らかに減っている。
「Xperia 1 VIII」には、生まれ変わったXperiaとして再び世界に挑もうとする意志も感じられる。カメラデザインの再構築やAIの積極活用は、単なるマイナーアップデートではなく、Xperiaをもう一度世界市場の舞台に押し出す原動力になるはずだ。
「Xperia 1 VIII」がソニーのフラッグシップモデルとしての信頼を取り戻し、海外市場での存在感を少しずつでも高めていけるのであれば、ソニーのスマートフォン戦略はまだ巻き返しの余地を残していると評価できる。生まれ変わったXperiaが、この転換点をどこまで押し広げられるのか。今後の展開を注視したい。
