2000億ドル(約31兆8300億円)。米メタ・プラットフォームズが、ルイジアナ州リッチランド郡で建設を進める人工知能(AI)向けデータセンターに最終的に投じると見込まれる金額だ。
トウモロコシ畑と湿地帯が広がる地域で、メタは約4000エーカー(約16平方キロメートル)に及ぶ巨大施設を建設している。トランプ米大統領は、その規模が最終的にマンハッタン並みに拡大するとの見方を示している。
開発資金としては、ウォール街の大手金融機関が約270億ドルを拠出した。地元電力会社エンタジー・ルイジアナは電力需要に対応するため、ガス火力発電所10基を新設する計画だ。
米国で最も貧しい地域の一つに数えられるこの肥沃な土地で進むのは、メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)自らが構想したプロジェクトだ。ブルームバーグ・ビジネスウィークの最新特集では、同社がこの施設建設に向け、用地や電力、資金調達を巡る契約をどのようにまとめ上げたのかを追った。2023年、ChatGPTの登場でAI開発競争が過熱するなか、ザッカーバーグ氏は社員に対し、世界最大のデータセンターを建設するよう指示した。
同氏が求めたのはスピードと規模だけではない。資金面での柔軟性も重視した。「ハイペリオン」と呼ばれる同プロジェクトには、ザッカーバーグ氏自身が深く関与している。ホワイトハウスでトランプ大統領に構想を説明したほか、ルイジアナ州選出のジョンソン下院議長とは拡張計画について繰り返し協議してきた。ルイジアナ州のランドリー知事とも、テキストメッセージをやり取りする関係を維持している。
膨大な電力を確保し、広大な施設群を建設するには莫大な費用がかかる。ただ、メタにとって最大の支出となるのは、間違いなくデータセンターに搭載するAI半導体だろう。1ギガワット規模のAIインフラを整備するには、数百億ドル規模の費用が必要となる。さらに競争力を維持するには、数年ごとに半導体を刷新し続けなければならない。
メタは、こうした半導体を巡り売上税の免除措置を確保したほか、ウォール街の資金提供者とは、撤退の余地を残したリース契約を結んだ。4年ごとに、データセンターの競争力維持に向けて追加で数十億ドルを投じる価値があるのか、それとも撤退するのかを判断できる仕組みだ。
2000億ドルという金額は、支出額の下限にすぎない可能性がある。ザッカーバーグ氏が今後も、この規模のデータセンターを最先端の水準に維持し続けようとすれば、最終的な総額はさらに膨らむ公算が大きい。
筆者は数カ月にわたり現地を繰り返し訪れ、この規模のデータセンターが小さな農業コミュニティーに何をもたらすのかについて、100人超に話を聞いた。同時に、メタのAI投資拡大に不安を強める投資家が、この計画をどう受け止めているのかも探った。
わずか数週間前には、同社が今年の設備投資額として最大1450億ドルを見込むと示したことを受け、株価が急落した。株主の間では、こうした巨額のインフラ投資に見合うだけのリターンを、メタが本当に生み出せるのかとの疑念が広がっている。
投資家の懸念を和らげるため、メタはコスト抑制に取り組む姿勢を示している。従業員の10%削減について経営陣は、投資負担を「相殺」する狙いがあると説明している。エバーコアのアナリストは、この人員削減によって約30億ドルのコスト削減効果が生まれると試算する。
ただ、一つ明らかなことがある。これはハイペリオンの建設費と比べれば「焼け石に水」であり、ましてメタが2030年までにAIインフラへ追加投入を計画する数千億ドル規模の資金を考えれば、なおさらだ。
今回の人員削減は、少なくとも一部ではウォール街への配慮に映る。つまり、投資回収の道筋が明確でないまま積極投資を続けるなかで、経営規律を示そうとしているのだ。しかし、仮にメタが今年さらに追加の人員削減を進めたとしても、AI投資を相殺できるほどの巨額資金を捻出するのは難しい。
おそらくメタは、厳しい現実を少しでも受け止めやすい形で示そうとしているのだろう。AI時代を迎え、大手テック企業は単純に人員規模を縮小しつつある。財務上の小さな「効率化」を積み上げても、こうした巨額投資やそれに伴うリスクについて、投資家を長期的に安心させることにはつながらない。
ザッカーバーグ氏にはなお、リッチランド郡のデータセンター、そして今後建設される施設群が、巨額投資に見合う価値を生み出せることを証明する責任が残されている。
著者:Riley Griffin
