おそらく、合否の分岐点となったのは「大局観」の有無。目の前のことにいっぱいにならず、「ここで負けても後でとればいい」とトータルで勝つための局所的な損失をのみ込む俯瞰力こそが、明暗を分けたのでしょう。そうした意味で、「軍師」的な立場すらも子どもたちに求められる時代が来たのかもしれません。
どうすれば「大局観」は身に付くか? 有能な軍師の教えに学べば、少しは我々も軍師たるための要素がわかるかもしれません。
『勝負哲学』は、サッカー日本代表元監督の岡田武史氏と、将棋界の生ける伝説である羽生善治氏による対談集です。片や広大なピッチを駆け回るスポーツ、片や静寂の中で盤面を見つめるボードゲームと、一見全く交わらないように見えますが、両者ともに「盤上を見渡して適切な采配を振るう」点で共通しています。
競技の世界は、常に状況が変化し、あらかじめ用意された「正解」が存在しません。限られた時間とリソースの中で、全体を俯瞰し、相手の出方を予測し、最も期待値の高い選択肢を瞬時に導き出す。有機的かつ不定形の状況を相手に、臨機応変な価値判断が求められ続けることから、恐らく体系だった指導は難しいでしょう。下手なパターン化は、逆効果にもなり得る。
だからこそ、学ぶべきは「一対一対応のパターン演習」ではなく、「なぜその判断を下せるのか?」という価値観それ自体でしょう。この二人の対談からは、その采配術の一端をうかがい知れるかもしれません。
勝負との向き合い方を問う
ここまで紹介した3冊は、どれも「一流のプロフェッショナル」による勝負との向き合い方を問うものでした。我々が遊び(ゲーム)と呼ぶ様々なものは、仕事に負けず劣らず奥深いものであり、何事にも真剣に向き合ってみれば、一定の経験値が得られるものでしょう。
そして、我々の見聞きしたモノとそれに対する解釈こそが「経験値」と定義するならば、同じようなモノに触れ合うよりも、これまで見たことが無いモノを観察したほうが、新規性のある情報が得られる可能性も高まり、経験の期待値は高くなるはずです。
もしも、みなさんが日常の勉強や仕事に行き詰まりを感じていらっしゃるのであれば、時には遊びや趣味など、別の世界に解法を求めてみてはいかがでしょうか?

